小学校・中学年の課題
○理由(原因・根拠)、類別、条件・仮定、構造・関係・機能・還元
中学年となると、電気に興味をもち出します。ところで、乾電池1個と2個(直列)の場合で、モーターを回すと、当然のことながら、乾電池2個の方がよく回ります。その分けを考えさせると、よく「2個つないだから」という答えが返ってきます。確かにそうなんですが、これは、原因・理由・根拠ということの使い分けがなされていないのです。
「乾電池2個つないだ」というのは原因です。それが原因で、電流がたくさん流れたのです。「強い電流が流れた」というのが理由に当たります。それはなぜ分かるか、その根拠はというと、検流計の針が大きく振れた、ということから分かります。
このように、<理由・原因・根拠>という見方・考え方は、中学年の子にとって、大切な方法になってきます。
電気の学習では、電気を通すものと通さないものとを分けるということもやります。これは<類別(分類・分ける)>という見方・考え方です。
虫でいうと、昆虫とそうでないものとを類別したりもします。
生き物(昆虫や草花)の生活を一年通してみていきますが、気温・えさなどの条件を押さえます。<気温が~~だからこそ>とか<えさが~~だから>などと考えるのです。<条件・仮定>という見方・考え方です。これはさらに、自然界とのつながり(関係)を考える糸口にもなり、自然を<構造・関係・機能>という見方でとらえ直すことにもなります。
<構造・関係・機能>ということに関わって、先のモーターの例でいうと、モーター、乾電池、検流計が、このような配線(構造)になっているから、それぞれにこのようなつながり(関係)が生じ、モーターを回すという機能が生まれた、ということになります。
見方・考え方というのは、理科を例にとりましたが、どの教科でも有効な方法です。ふだん何気なく使っている方法ですが、これらの見方・考え方を、意識して使えるようになると、子どもたちの認識力も育つはずです。
これらの方法を身につけさせるには、何回もくり返し使うことが必要です。つまり全教科を通して、これらの方法をつかっていくべきです。 このように、中学年では(一方では低学年の課題を身に付けさせながら)、新たに上のいくつかの見方・考え方を国語だけでなく全教科を通して分からせていきたいです。
まず「理由」ですが、なぜそうなのか、と見たり考えたりすることです。
「類別」は、分類する、分ける、ということです。段落に分けることや、文末の違いに目を向けて分けたりすることもあります。また、要点をまとめるということもあります。
「条件」と「仮定」は、表裏一体の見方考え方です。条件というのは<~~だからこそ>とそのものの条件をもとに考えることです。逆に<もし~~でなかったら>と仮定して考えることと同じです。どんな時、どんな場合、どんな人、など、<どんな~~>を考えることは、まさしく条件的な見方・考え方です。。
「構造」は、作品の構造や段落のつながり、人物と人物の関係などいろいろあります。文芸作品や説明文ではよく、読者が思わず身を乗り出して読みたくなるように書かれています。これは読者と作者、作品の関係で<仕組み><仕掛け>と言っています。構造・関係・機能については、四年生ぐらいから分からせたいですが、3年生あたりから、気づかせていって欲しいです。 用語として難しいのは<構造・関係・機能>でしょうか。私はこれは、<しくみ・つながり・はたらき>という言葉に置き換えて使っています。
具体的な教材を使って,これらの見方・考え方を,<3年・4年の教材>で簡単に説明しています。